ゲストBOOK

 

ケニア


 


 
 


ナイロビに到着して一夜が過ぎた。
昨日の夕方頃、一睡もできなかった悪夢の大移動が終わり、
ナイロビの宿「New Kenya Lodge」に無事着きました。
エチオピアから来た私たちにとって、このナイロビはとても大都会に見えました。

ナクマットという大きなスーパーには、たくさんのお菓子が並んでいて、
その種類の豊富さに感激し、
私たちはまるで、初めてスーパーに来た子供のようにはしゃぎました。
また、ホテルでホットシャワーを浴びたときも感動しました。
シャワーがないところがほとんどだったし、あっても水シャワーが当たり前だったので。
夜は温かいシャワーを浴びた後、ナクマットで買ったお菓子を食べました。
電気のある部屋で!

便利で十分過ぎるくらいに整った環境の中で生活している私たちにとって、
電気も、温かいシャワーもきれいなトイレも当たり前。
だからこそ、電気のない生活、シャワーのない生活を不自由だと思ってしまいます。
でも、今もなおそういった生活を普通だと思って暮らしている人がいるのです。
水も川へ行き、タンクの中にいっぱいにいれてアタマの上に乗せて家まで運ぶ。
料理するにも火をおこすところから始める。
買い物も冷蔵庫なんてないから毎日必要な分だけ買う。
彼らは、便利な世界を知らない。
だから、私たちはナイロビまでのひどいバスに文句だらけだったけど、
私たち以外の誰一人と文句は言わなかった。だって、これが普通だから。
人は一度便利な生活に慣れてしまうと、古き良き生活を忘れてしまう。
現に、エチオピアでシンプルな生活をしていた私たちも、
この都会のナイロビに1日で慣れ、再びこの生活が当たり前になろうとしています。
しかし、エチオピアに行ってナイロビに来たから、
電気のありがたさ、水の大切さを感じることが出来たのだと思います。

今日の夜ご飯はすき焼き。宿にあるガスコンロを使ってみんなで作りました。
ネギも、白菜も、豆腐も入っている。
幸せです。感謝していただきま〜す!

(リエ)




「ケア!ケア!ケア!(気を付けて!)」
運転席からガイドのジョセフが叫ぶ。
その都度僕らはどこかに掴まり、頭をぶつけないように気を付ける。
車は道を外れて、道なき道を進む。轍すらない。大草原の薮の中に入って行く。
そしてしばらく走ると............あ...いた......!!!
まるで恐竜のようにデカくて堂々としたサイが、薮の中で草を食べている...。
よく見ると、サイの背中には黄色の小鳥が三匹とまっているではないか。
「うわぁ......すごい..........!!」
薮の中にいた野生のサイ....。感動で言葉が出ない...。
ジョセフはサイが観察できるギリギリのところまで車を寄せてくれたが、
あまり近づきすぎると危険だと言った。
なるほど、こんなデカいサイがもし突進してきたらこんな車ひとたまりもないだろう。
僕らは夢中になってシャッターを切っていると、しばらくしてサイは立ち上がり、
その大きくて鋭い立派な角を僕らに披露しながら薮の中に消えていった。
ジョセフはどうだ、と言わんばかりに得意げな顔をしている。
ここマサイマラ国立公園でクロサイを観察できたことは、けっこうレアな体験らしい。

僕らはナイロビの「New Kenya Lodge」でゆっくりとした数日を過ごした後、
ここからマサイマラ国立公園へ、二泊三日の念願のサファリへ行くことにした。
ガイド兼ドライバーの名前はジョセフ。いつもニコニコしているナイスガイだ。
ナイロビでお菓子を買い込み、遠足気分でGO!
ナイロビから外れると道は舗装されていないオフロード。
しかしモヤレからナイロビまでのあの過酷なバスでの地獄の移動を考えると、
サスペンションの効いたサファリカーのフカフカしたシートはむしろ心地よいくらいだ。
途中で昼食をとり、しばらく走るとまだ公園内でないにも関わらずシマウマを発見した。
興奮しているのもつかの間、今度はなんと高い木にカモフラージュしながら草を食べている
キリンたちにも遭遇した!なんて光景だ!
このサファリで結構楽しみにしていたキリンにもう出会ってしまうとは!
これからのサファリに期待が膨らむ。
キャンプサイトについたのはもう夕方で、
夕食までマサイ族の人たちと一緒にフリスビーで遊び(マサイ族の人は意外とウマい)、
夜はたき火を囲んで太鼓を叩いたり話したり...
サバンナの夜は更けていった。

そして翌日、一日中ゲームドライブの今日、いったいどれくらいの感動をしただろうか。
大自然過ぎた...。
生まれて初めて行ったサファリは、想像を遥かに超えた素晴らしいものだった。
アフリカに来た大きな目的の一つはサファリだった。
しかし、この見たこともない大自然の姿を目の当たりにして
自分がここまで感動するとは思わなかった。
美しいシマウマの群れ、満腹の時はダラダラと寝そべっているライオンたち、
20頭近くいた像の家族を見た時は泣きそうになったし、
草原の中にぽつんといるダチョウたち、可愛らしいジャッカル、ヒヒの群れ、
川に行った時はカバの親子を見たし、その横をワニが通って行った。
川渡りこそ見れなかったげれど、
車の轍さえ命がけで渡ろうとするヌーの群れは、それだけで感動した。
生まれたばかりのこどもを連れた凛々しいチーターの母子の姿にも涙が出そうになったし、
澄んだ目をしたガゼルの群れを見ると心が和んだ。
何よりもキリンの群れを見ている時は夢のようだった。
全てが信じられないくらいの大自然だった。
ただ車を走らせているだけで目を凝らしていると、
何種類もの極彩色に彩られた鳥が飛ぶ。
動物の死骸には見たこともないくらいの大きなトリたちが群がる。
草があって、草食動物がいて、肉食動物がいる世界。そしてその糞からまた草が生える。

全てが一つ。
全てが必要で成り立っている世界。大自然。

この世界を感じることが出来ただけで、これからもっとイイ生き方が出来る気がする。
大自然の中、僕らのような人間が入ってきて迷惑には違いない。
だけど、この世界を知らない僕らに、
当たり前のように大自然の姿を見せつけてくれた、
全てのものに感謝したい。

(リョウスケ)




自分はなんて幸せなんだろうかと思う。
ポレポレ村に来てからもう一週間が過ぎた。
ここには「幸せ」の要素が全てある。

東側の海へ行こうと決め、ナイロビを離れた僕らは
ポレポレ村にたどり着き、ビーチのすぐそばのコテージを借りることが出来た。
僕ら7人は、ここで今「自由」の生活をしている。
素晴らしいキッチンとリクライニングルーム兼縁側のような
半外の部屋がそれぞれの部屋にあり、
朝か昼に、だいたい地元の人が捕まえたての海の幸を持ってきてくれる。
初日はいきなりカニだった。
まだ元気いっぱいのカニに熱湯をかけ、ゆでて、レモン醤油で食う幸せ。
ハサミなんか刺身のようにプルンとしてサイコーにウマかった。
そして何よりも、あの頭にガツンとくるようなカニみその味は忘れられない。
併せてカニご飯とカニ汁もいただいた。カニ三昧。
日本で食ったらウン万円コースだろう。僕らは初日の昼から食った。
それから毎日海鮮三昧。
イカを使ったお好み焼き、エビクリームコロッケ、魚のムニエルとスープ、
そして昨日は海老フライカレー...!書いているだけでよだれが出そうになる。
毎日、超新鮮な海の幸をクッキングして食べているのだ。
もう日本食料理屋もマクドナルドも要らない。

そして、ご飯の後はこれ以上無いくらい気持ちのいい海の風に吹かれながら、
トランプの「大貧民」が始まる。
これに負けた二人が皿洗いになるのでこの時間はみな真剣になる。
運悪く、中心になって料理を作ってくれた人が負けることも多い。
皿洗いが終わると一服しつつ、音楽聴いたり、映画を見たり、みんなで話したり...
誰からともなくジャンベが始まり、ギター、ジャンベ4つとそのままセッションが始まる。
鍋も打楽器として使えるし、フエもある。僕らはジャムバンドだ。
そのまま夜のビーチへ行って、演奏を続けたり...
海の夜風は本当に気持ちがいい。

昼間はみんなだいたい好きなことをしている。
ジャンベをたたいたり、ギターを練習したり、本を読んだり、絵を描いたり...
予定を立てずに気ままに好きなことをする幸せ。
天気のいい日はビーチへ行く。
ここにはサイコーのビーチがいくつもあり、潮の満ち引きで様々な表情を見せる。
入り組んだ岩に遠浅の海が広がり、海だけ見ていると
インドのゴアのような静かな激しさがあるし、
岩を見ているとギリシアのコルフ島を思い出す。
かといってこのきれいな遠浅はアメリカのマイアミの海を思い出した。
海の色はメキシコのカンクンかな。
とにかく、これまで訪れたサイコーの海の要素が全部混ざったような素晴らしい海だ。
岩辺に行くと、一斉に動くたくさんのカニに出会う。
そのほかハゼやら小さな魚やら、カイやらヤドカリやら、生命に満ちあふれた世界を見る。
岩辺を探検するのは楽しい。
サンサンと照りつける太陽の下、まさに夏休みだ!
そして無邪気で可愛らしいこどもたち...!
どこを切り取っても「幸せ」としか表現できないような世界が広がっているのだ。
これ以上にもう何もいらない。

今朝は、早起きしたリョータくんと僕とリエの三人で遠い方の大きなビーチへ行った。
潮の引きの時間がちょうど朝だったので、散歩がてら海へ行ったのだ。
遠浅の海をぱしゃぱしゃと歩き、岩辺に行くと貝が採れる。今日のおやつにちょうどいい。
地元の兄ちゃんが騒ぐので行ってみると、岩の陰にウツボの家族がいた。
兄ちゃんたちは、きっと引いた海に取り残されてしまったのだろうと言っていた。
でも大丈夫。ここの海は時間によってすぐ変わるから。
ビーチから村を通って宿に帰る。
こどもたちが集まっているので覗きに行くと、そこには出産直後のヤギの母子がいた。
まだ母ヤギの体内の液がついているのに、子ヤギは懸命に立とうとして、
母ヤギもそれを手伝っていた。
ワタムの村は、歩くたびに何かに出会う。
ここの村はのんびりしていて、ちょうどインドのゴアに似ているなと思う。
サモサもあるし。

僕らは帰りに魚屋さんで大きなカジキを見つけ、2.5kg買って帰った。
今日はこれでステーキでも作ろう。
その前に今日は天気がいいので、また海へ行って泳ぎに行こうっと!!

(リョウスケ)



 
 
 


毎日、僕らは、

海と空の表情とは時間によってこんなにも美しく変化し、
夕方の太陽の光とはこんなにも暖かく優しいものだということ、
そして毎日すれ違うどの人にも「ジャンボ!」と挨拶をすることは
こんなにも気持ちのいいことなのだということを
間違いなく体中で感じながら過ごした。
そして毎日波の音を聞きながら眠り、波の音を聞きながら起きた。

世界は本当に美しく、人生は限りなくステキな可能性に満ちあふれている。
「朝日」という一日の中で最も劇的で偉大で美しいイベントが
毎日必ず行われていたということにも気付いた。
これ以上に毎日をこんなにも満足しながら生きることが出来るのだろうか。
無駄なものは一切無く、全てのモノがここにはあった。
重要なのは、時間がゆっくりと流れていた。
僕らは毎日予定を立てずに好きなことをして過ごした。
ギターを弾いたり、ジャンベをたたいたり、絵を描いたり、
海辺で拾った貝でアクセサリーを作ったり、散歩したり...
そして毎日いつも一緒に夕飯を作って、一緒に食べた。
僕ら全員がそれぞれ何かを感じ、それぞれ何かを考えることが出来た。
ここは旅の終着点だったのかもしれない。
でも間違いなく、新たな出発点でもある。
ここから僕らは再び旅立って行く。
またここに帰ってくるかもしれない。
いや、必ず帰ってくる。
それぞれの人生をまた過ごした後に。

(リョウスケ)



 
   
 


ラムに着いたのはラマダンの真っ最中だった。
ラマダンというのはイスラム教の断食期間のことで、
イスラム教の人々はこどもから大人まで、この期間、太陽が出ている間、
ものを口にしてはいけないのだ。
食べ物はもちろん、タバコもお菓子も、水さえも飲んではいけない。

ポレポレ村で3週間という思いのほか長い期間滞在し、
やっとのことで僕らは動き出し、それぞれの地へと旅立って行った。
僕ら二人とダイスケくんは、ポレポレ村からさらに北にあるラム島まで行くことにした。
ポレポレ村からマリンディまで移動し、マリンディからラムまでの久しぶりの
長距離移動はけっこうシンドかったが、バスを降り、舟に乗り換え、
エメラルドグリーンの海の中、ついに見えてきたラムは
それさえも忘れるほどの魅力的な場所だった。
ラムは一応島で、島の中には車が無い。
というか車なんて走ることが出来ないほど狭い路地でできた街なのだ。
だから町の中は静かで、路地の中ではロバが行き来する。
なんだかこの雰囲気はインドのバナラシを激しく思い出す。
時間はゆっくりと流れ、こどもたちが路地の至る所で遊んでいる。
ただ、今はあいにくラマダン中なので、
話に聞いて楽しみにしていた海鮮屋台はおろかどこのレストランも開いていなく、
オーストラリア人の経営するナイスでリッチなカフェでセレブな食事をするしかなかった。
でもこれが、僕らの心をリッチで優雅な気分にさせたのも言うまでもない。

ラム島にはダウ舟と呼ばれる帆舟がたくさん行き来している。
今日はダウ舟に乗って、マングローブの木が茂る小さな小島まで行くことに。
木と布だけでできた小さな小舟に乗ると、なんだかワクワクする。
僕らの舟は後ろにドデカいボブマーリーの旗がなびいている。ボブ号だ。
帆を広げ、風のみを動力として舟は動く。
岸から見ていると、静かに優雅にすうっと動いているように見えたこの舟も
実は偉大なる自然の力を借りながら、バランスをとって動かしていたことが分かる。
つまり波と舟のスピードと風の強さや向きを読み違えると、
たちまちひっくり返ってしまう、かなり熟練した腕前が必要とされる乗り物なのだ。
僕らの船頭たちは二人ともプロだった。
いつも「ポレポレ〜(ゆっくりゆっくり〜)」とか言って、
何事もゆっくりゆっくりやっている印象のケニア人の彼らが、
この時ばかりは真剣な顔で風を読み、声を張り上げながら
二人お互い協力してキビキビと動いているではないか。
帆の向きを変えたりロープを引っ張ったりするのにはスゴい力がいる。
よく見ると彼らの肉体はかなりガッシリしている。
なんだ、カッコいいじゃないか、ケニア人!
今日はいつもより波が強いらしく、
一度ホントに危なくザァっと水がかなり入った時があったが、
その時も冷静に判断して持ち直し「ハクナマタタ(問題ないぜ)」と一言。
ちょっとマジでカッコいいぜ、ケニア人!!

一時間ほどの航海の後、マングローブの島に着いて、
僕らがのんびりと遊んでいる間にも、彼らは休むことなく
せっせと僕らの昼飯を作ってくれた。もちろん火起こしからである。
そして出来たココナッツ風カレーのような料理もかなりウマいモノだった。
なんだかパーフェクトな男たちではないか。
イイ男たちは笑顔もイイ。
横を見るとリエの目がハートになっていた...。

夜、舟を誘ってくれたヤツと同じヤツが
「音楽を見に行かないか、僕らは楽器を持っている」と僕らを誘った。
今日は満月。
僕と、ナイロビからずっとジャンベを持っているダイスケくんは、
今日は何かオモシロいことがあるに違いないと思い、
ジャンベを持って、そのツアーに参加することにした。
いつも歩く迷路のような路地をさらに奥へと歩く。
途中、彼のトモダチも二人合流し、彼らの家で一服しつつ、
なぜか彼らは空になったプラスチックの容器を一つ持って、再び歩く。
アフリカにはオモシロいカタチの植物が多い。
満月の光は強く、逆行で現れるそれらの影を楽しみながらどんどん歩き、
ついに着いた場所は、周り全てがヤシの木で囲まれた、
見たこともないような広場だった...!
光の全くないその場所での唯一の明かりはこうこうと輝く満月の明かりのみ。
逆行で影絵のようになったヤシの木が風で優しく揺れる。

突然、彼らはプラスチックのケースを小さくたたきだし、
ささやくような声で歌いだした。一人はやはり優しく手拍子をとっている。
え、楽器ってまさかこれなのか...?!
勝手にたき火を囲んだドンチャン騒ぎのようなものを想像していた僕らは
この時、拍子抜けというよりも感動すら覚えた。
アフリカはいつだって物事は「シンプル」だってことを教えてくれる。
彼らは手拍子とプラスチックのケースで音楽は奏でられるんだよ、と
教えてくれたのだ。

「♪サヨナラ〜...」

聞き間違えかと思ったが、彼らは確かにそう歌った。
日本の言葉を混ぜて歌ってくれているのだ。
涙が出そうになった。
ケニアについてからのことを思い出す。
そう言えば、ナイロビに着いて、都会でうれしくて、
その後サファリに行って、たくさんの動物たちに会って、
そしてあのポレポレ村での素晴らしい生活...全てケニアだったんだ。
僕らはたくさんの人たちに会って、たくさんのことを感じた。
彼らはその全ての人たちを代表して、
僕らにサヨナラを言ってくれているのかもしれないと思った。

「ジャ〜ンボ♪ジャ〜ンボッバ〜ナ?ハバリガ〜ニ...」
いつもの歌になだれ込む。
こどもたちから誰もが知っていて歌うこの歌が、
今日は何だか寂しい歌に聞こえる。
彼らは止まることなくずっと演奏して、優しく3人で歌ってくれている。
聞こえるのは虫の音と、風で揺れるヤシの木と、
ポンポコと奏でられるプラスチックのケースと彼らの優しく、
ちょっぴり寂しい歌声だけだった。
ヤシの木がまた風で揺れる。
ラムの優しい野郎どもよ、ありがとう。
このままずっとここにいたい、そう思った。

(リョウスケ)

 




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