早朝にアレッポを出発したバスは、僕らを乗せてぐんぐん走って行く。
さらば中東。僕はipodで朝に優しいBoards of Canadaを聴きながら寝てしまった。
目覚めると、そこにはトルコの国旗が見えた!国境だ。ついにトルコだ!
ここは、中東とも、中央アジアとも、そしてヨーロッパともつながっている国。
つまりここは、アジアからインド・パキスタン・イランと抜けて来た者、
ヨーロッパからおりて来た者、中国から中央アジアを抜けて来た者、
そして僕らのようにエジプトから中東を抜けて来た者、
様々なところから来た、いろんな旅人が交差する国なのかもしれない。
北へ北へと向かっているだけに、ここはもうけっこう寒い。
入国スタンプをポンと押され、僕らはまたバスに乗り込み、
しばらく乗った後、アンタクヤに着いたのだった。
僕らはアンタクヤからアクサライへ向かい、アクサライからネブシェヒルへ、
そこから奇岩の町、カッパドキアと呼ばれるギョレメ村へ向かう予定。
ここアンタクヤで、トルコでの初めての買い物、
まずはアクサライ行きのチケットを買う時、最初の衝撃があった。
19米ドル。2300円くらい。あれっ、バス代ってそんなにするもんだっけ??
ここからギョレメ村まで、単純計算でこの2〜3倍はするのか...?
これまで比較的物価の安い国ばかりを来たせいか、
というかインド・エジプトの感覚が抜けていないせいか、
ヨルダン・シリアで少し高くなったという印象を、さらにに超える感覚があった。
しかし、乗り込んだバスはこれまでとは違って、
清潔で、ウエイターが紅茶をくれるサービス付き。
窓から見える町並みも、どこか長野県の上高地を思い出させる風景だ。
きれいに舗装された道路に最新のプジョーなどが走って行く。
もう、思わず写真を撮りたくなるような珍しい旧車は走っていない。
緊張感が無くなるというか、久しぶりにホッとした時間を思い出したような気がする。
看板などの文字も、アラビックからアルファベットに変わった。
トルコ語なので全く意味は分からないが、
本当に意味不明なアラビックの世界からは抜け出したのだ。
この文字変化の感覚は、中国からベトナムに入った時と似てるな。
アンタクヤからの長くユルいバスの旅を終え、
アクサライでは何故かガソリンスタンドに降ろされた。
ネブシェヒル行きのバス停まで近いとのことだが、どちらか分からない。
途方にくれ、ガソリンスタンドでバス停の場所を聞いてみると、
なんと、たまたまガソリンを入れていた人が、そこまで乗せて行ってくれると!
なんて優しいんだ!トルコのひと!
これはインドだったら間違いなく100%、睡眠薬強盗かボッタクリのパターンだが、
ここはもうトルコ。
そろそろインドの考えは捨てて、好意としてありがたく受け取ることにした。
そして彼らは親切にもバス停まで僕らを乗せて行ってくれたのだ。ありがとう!
アクサライからミニバスに乗って、ネブシェヒルに着いた時はもう日が暮れていた。
ギョレメ村までもう少し!
それにしても極寒だ!改めて僕らはトルコに来たことを確認する。
しかし恐れていたことが当たり、ギョレメ村へのバスはもう今日は終わっていた。
ヤバい。ギョレメ村へは15kmもある。今は夜の八時半、外は極寒、ということで
僕らは仕方なく、タクシーを拾って向かうことにした。
タクシーの運ちゃんは豪快に飛ばしてくれ、あっという間にライトアップされた
奇妙な岩の世界のホテルまで連れて行ってくれた。が、請求金額にまた驚いた。
40トルコリラ(3600円)!
ここ数ヶ月聞いたこともないタクシー代に、100%ボッタクリだと思ってしまったが、
ここはもうトルコなのだ。
もうこれまでの世界とは違う。頭を入れ替えなければ!
しかし、ヨーロッパから来た人は口を揃えて、トルコが安く感じると言う。
恐ろしや...。
(リョウスケ) |