今日はリエと二人でマプトの町を歩きまわる。
昨日僕らはトーフからモザンビークの首都、マプトに着いた。
まず明日、南アフリカのダーバンへ行くためのバスを手配しに駅まで行き、
そのあとマーケットの中を歩いて見学して、美術館へも行き、
その足でレボリューション博物館も行った。
しかし、マーケットにいるあたりから雨がザアザアと降り出した。
ホテルから町の中心までは歩いて結構かかるし、ダーバン行きのバスが木曜日の明日しか
出ないこともあってマプトを見学できるのが今日しかなく、無理をした。
レボリューション博物館からホテルまでは二人でずぶ濡れになって帰った。
やっとたどり着いた宿、僕は体がものすごくしんどくなっていくのがわかる。
夕食を早々にすませ、明日のバスが早いこともあるし7時頃だったがもう寝ることにした。
しかし、寝れなかった。寒いのだ。
持っている服を全て着ているが、口がガクガクするほど寒い。
そして、起きあがることができないほど体がしんどい。
今リエの右手はダイビングの時捻挫して、触れるだけで激痛が走るほど痛がっている。
だから二段ベッドの上段に僕が寝ている。
今日なんてさっきまで僕がリエのヘルパーだった。
しかし、今の自分はどうしようもなく死にそうに寒い。
リエを困らせたくなかったが、僕は下の段で本を読んでいるリエに助けを求めた。
「...あのさぁ、リエ、寒くて、死にそうなんだけど、どうしよ...」
「うわっ!すごい熱!!」
起きあがったリエは、痛くない方の手で僕の熱をみてビックリしていた。
ジンバブエからずっと一緒に旅をしているユースケさんも僕の高熱に驚き、
ホテルの人に頼み、毛布をたくさん持ってきてくれた。
ありがとう...。
僕はグルグル捲きの蓑虫のようにして寝ることになった。
そのあと寒さはおさまり、少し落ち着いたが、高熱で汗がものすごく出てくる。
夜中、息ができないほど苦しくハァハァと呼吸もしんどくなった。マジで死にそうだ...。
明日のバス移動のためにと二人で買った水ももう全部飲んでしまった。
しかも明日南アフリカに入る予定だったので、
モザンビークのお金はきれいに使ってしまってもうない。
そんな中リエは、僕が記念にとっておいたモザンビークのコインを探し出し、
どこからかコーラを買ってきてくれ、僕に飲ませてくれた。
これが最後のコーラだ。天の助けだった。
そして、外はもう夜中、もう水を買いに行くことはできない。
リエはきれいな水を手に入れるためにキッチンに湯を沸かしに走ってくれた。
その湯を冷ましている間に水道水でタオルを濡らし、僕の額においてくれた。
それを一晩中、リエは黙って何度も何度も繰り返してくれた。
リエは右手が使えないくらい痛いはずなのに、
何度も何度もタオルを絞って取り替えてくれた。
とにかく、へんな病気でないことを願いたい。
風邪の症状とマラリアの症状はものすごく似ている。
アフリカでは常にマラリアを疑わなければならない。
リエも同じ事を考えていて、ずっと「明日病院へ行こう」と言っていた。
翌日、ケロッとまではいかないがなんとか動ける感じになることができた。
リエのおかげである。これが夫婦愛なんだと思った。大感謝である。
これからは南アフリカ、道路も整っているし、バスも日本並みだときく。
これがケニアやタンザニアのような移動だったら先延ばしにするところだったけど、
思い切って予定通りのバスに乗ることにした。
きっと南アフリカの方が医療設備も整っているはずだ。
アフリカの旅も4ヶ月を越え、かなり疲労がたまっている。
それに加えて大雨の中かなりの距離を歩いたのがたたったのだろうと思う。
それにしてもリエは強い。
僕と同じように旅してるのに、最近は風邪などまったく引かない。
右手の捻挫だけはかわいそうだが...。
しかし男性より女性のが強い、というのは認めざるをえないようだ。アフリカに来て思う。
そんな強いリエに感謝して、僕らは最後の国、南アフリカに向けて旅立ったのだった。
(リョウスケ)
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